当院における糖尿病患者さんの糖尿病になってからの期間(平均罹病期間)は7~8年です。ベテランの患者さんは、糖尿病のコントロールの指標がヘモグロビンA1Cであることはよくご存じです。そんな皆さんから「ヘモグロビンA1Cは良い値なのに血糖が高くて心配だ」という声を聞きました。そんな疑問にお答えする研究結果が報告されました。2008年にJCEMというホルモン関連の有名雑誌に掲載された研究です。Esposite先生らの研究では糖尿病患者さんのヘモグロビンA1Cの結果よりも食後の一番高い血糖の値に関連して動脈硬化が進むという結果が出ました。食後の血糖はおよそ30分から1時間で最高値に達するのですが、この食後の最高の血糖値の上がり具合が頸動脈の血管の厚さ(内膜中膜複合体の厚さ=動脈硬化)に比例するというのです。ただし、食後30分から1時間の血糖は食事による変動が大きく、一回ごとの診察で前回と比較することができません。そこで私たちは通常は食後2時間の血糖値を参考にしていますが、この食後2時間の血糖値も動脈硬化に関連することが同じ論文で報告されています。食後2時間の血糖の目標値は140㎎/dlです。皆さん今日の結果はどうでしたか?
原口内科・腎クリニック
院長 原口 和貴 |