この透析一口メモは透析患者さんの①血管の硬化程度と②血管の詰まり具合を測定した時に当クリニックの本杉医師が患者さんの説明用に作成した文書です。
(CAVI, ABI共に測定方法と原理などについては糖尿病一口メモ④をご参照ください。)このように血管に関する情報をしっかり得て治療に役立てることは大切なことです。
透析患者さんのCAVIおよびABIの結果について
〔血管の硬さ程度(いわゆる動脈硬化)=CAVIで分かります〕
CAVIはCardio-Ankle Vascular Indexの略で心臓から、胸部大動脈、腹部大動脈、大腿動脈、下腿の動脈にいたる動脈の硬さを総合的に判断するものです。CAVIが高いと血管が硬い(動脈硬化が進んでいる)ということになります。
①CAVIが9.0以上になると動脈硬化の疑いがあります。
②自分の年齢平均値よりCAVIの値が大きい場合は自分の年齢より血管年齢が高いことになります。
③下記のABIが0.9以下の人の場合(つまり足の動脈に狭窄や閉塞が疑われる人の場合)、CAVIが実際より低めになりますので、CAVIの値は参考値となります。
〔血管の詰まり程度=ABI(上腕・足関節血圧比)で分かります〕
足と腕の血圧の比をABI といいます。ABI を測定することで、足の血液の流れを調べます。正常では、ABI は1以上ですが、血液の流れが悪くなると、ABI は低下します。
①ABI が0.9以下の場合には、足の動脈に狭窄(詰まって細くなっている)が起こっていると考えられます。
みなさんご自分のCAVI、ABIの結果はいかがでしたか?
CAVIが9以上またはABIが0.9以下の人は動脈硬化が進んできていると考えられます。動脈硬化の危険因子としては一般的には高血圧、高脂血症(コレステロールが高い、中性脂肪が高い)、糖尿病、加齢、喫煙、肥満、運動不足、ストレスなどがあげられます。喫煙については当クリニックの全体の結果でも現在喫煙している人は有意にCAVIの値が高く動脈硬化が疑われますので、禁煙(無理ならタバコの本数を減らす)の努力をしてみたらいかがでしょうか。また透析患者さんはリン・カルシウムの異常も動脈硬化を進行させます。みなさん一人ひとりと当クリニックのスタッフで協力して今後動脈硬化が進行しないように、問題点を早期発見して対応していきましょう。
原口内科・腎クリニック
院長 原口 和貴 |